春季高校野球宮城県大会(18日開幕)の組み合わせ抽選会が13日、仙台市内で行われた。昨夏から3季連続優勝に挑む仙台育英は、投手陣全体の球速アップで中部地区予選も圧倒。入学時から20キロ増の最速145キロエース右腕・大栄陽斗(3年)を中心に、左右の140キロ超投手をズラリと並べ、全国舞台で躍進の基盤を築いている。

初戦の2回戦は、21日に利府と小牛田農林の勝者と対戦する。上位3校には東北大会(6月6日開幕、山形)出場権が与えられる。

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仙台育英ならぬ、仙台“育成”学園だ! 2、3年生投手は、入学時の130キロ台は2人だが、現在は135キロ超えが9人。大栄は「球速が上がることでスライダーも、より生きるようになった。今はカーブも練習中。いかに緩急がつけられるかで幅が広がるので、夏までに完成させたい」。系列の秀光中軟式野球部を全国準優勝に導き、硬式に変わっても142キロをマークした伊藤樹、笹倉世凪(ともに1年)を含めると140キロ超は3学年で5人。地区予選は7投手を起用して経験値もアップした。

育成法は大きく分けて2つ。投球時に横を向いている時間の長さを増やすことと、胸をいかに張れるか。ブルペンではなく、鏡や映像で確認しながら、ネットスローで投球フォームを固める。骨盤を動かす感覚も養い、瞬発力系トレーニングも導入。柔軟性はブリッジや逆立ちで磨く。

昨夏の甲子園では初戦で浦和学院(南埼玉)に0-9と大敗。3回途中から登板した大栄は、8回に本塁打を喫するなど終盤だけで5失点(自責3)。昨秋の東北大会準々決勝で延長10回完投も、花巻東(岩手)に5-0から逆転負けを喫した。球速アップの努力は持久力にも比例しつつある。「もちろん1人で投げきるつもりもありますが、投手全員で0に抑えてチームを勝たせることができれば最強」。まずは、県頂点と東北制覇を目標に掲げた。

最速143キロの鈴木千寿(3年)も「複数の走者を背負っても、動揺しなくなりました」。1年間で13キロ増の菅原天斗(2年)は「カーブが生きるので球数が減った」と相乗効果も得た。向坂優太郎(2年)も「3ボールからも直球でストライクをとりにいける」。ライオン軍団がスピードも得て、確実に敵を仕留める。【鎌田直秀】

▽仙台育英・千葉蓮主将(3年=今春のセンバツ出場を逃した悔しさも胸に)「東北大会で負けてから全員が上に行こうという意識が強くなった。1年生も試合に出ているので、実戦を通してレベルアップできています」