「がばい旋風」の再来だ! 佐賀大会2回戦で、佐賀北の久保貴大監督(30)が、就任後2度目の夏で初勝利を挙げた。投手として、同校の07年夏の甲子園優勝に貢献。0-3から代打策やスクイズで同点にするなど「逆転采配」で白星をもぎとった。過去2度公式戦で敗れているシード校・鹿島にリベンジ。快進撃が始まった。

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やはり「KITAKO」のユニホームには逆転勝ちが似合う。「がばい旋風」を支えた久保監督率いる佐賀北ナインの粘りが逆転勝利を呼んだ。4回まで0-3の劣勢をはね返して、久保監督として夏初勝利。試合後、開口一番に「いやあ、苦しかったです」と言うと、しばらく言葉が出てこなかった。

3回までに失策、暴投などがからんで3点を奪われたが、伝統は生きていた。久保監督はベンチで「自信をもって、いつも通りのことをやろう」と言い続けた。5回1死一、二塁から犠打で2死二、三塁にすると「元4番」の背番号12、宮崎翔大内野手(3年)を代打に送った。「あいつが打つと盛り上がる」。左前への適時打で2点を返すと、珍しくベンチで大きく両手でガッツポーズした。さらに6回にはスクイズで同点にした。現役時代に数々のミラクルで全国制覇した戦いを再現するかのような逆転劇に「さまざまなことを思い出しました」と言葉をつまらせた。初采配だった昨夏は初戦で敗退。「指導方法を変えなければいけないと思った。バントと守備を重視するようになった」。夏初勝利はナインとともに必死にもがいた結果だった。

球場外で待っていた、「がばい旋風」の当時監督の百崎敏克副部長(63)と、ガッチリ握手した。「夏は勝たないと次がない。本当にいいチームなので、目の前の試合を勝ちたい」。同じく「がばい戦士」の副島浩史監督(30)率いる唐津工に続いて初戦突破。12年前の風を、今度は監督として再び吹かせる。【浦田由紀夫】

▽百崎敏克・佐賀北副部長(教え子の久保監督の夏初勝利に)「夏は簡単に勝てない。この1年は苦労していたから。よく勝てましたよ。私は夏初勝利に6年もかかりましたから」