指導者でも「がばい旋風」だ! 佐賀大会は、07年夏の甲子園で佐賀北の3番三塁として決勝で逆転満塁弾を放ち、全国制覇に貢献した副島浩史監督(30)率いる唐津工が、4-1で強豪佐賀商を下す金星を挙げた。

公立校ながら強豪校を次々に撃破する快進撃をみせた選手当時さながらに、強気の采配で番狂わせを演じた。

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「がばい指揮官」の快進撃が止まらない。1、2回戦をコールド勝ちした勢いのまま、春県大会覇者で連覇を目指していた第1シードの佐賀商ものみ込んだ。

試合終了の瞬間、副島監督は両手でガッツポーズして喜びを爆発させた。ベンチでは、握り拳のジェスチャーで強気のプレーを意識させ、メガホンを使い「思いきり声を出していけ」と大声で指示を出すなど鼓舞し続けた。今夏、センバツ出場組の大分や日章学園(宮崎)が早々と姿を消したこともあり「強いところでも何があるか分からないのが県大会。うちは弱いけど全力で泥臭くやれば結果は出ると話してきた。相手にビビらず、困難に挑戦したことが一番の勝因」という。07年佐賀北での全国制覇時になぞらえ「当時もそうでしたから」と言い、選手も負ける気はなかった。

そんな副島監督の気迫に、昨秋ドラフトで日本ハム入りした柿木蓮投手と同じ東松ボーイズに中学で所属していた本村光希投手(3年)が応えた。佐賀商は昨夏含め過去16度、夏の甲子園に出場しているが、ひるむそぶりなどない。指揮官から「立ち向かっていけ」という訓示を胸に、エース右腕は今年初完投。強力打線をスライダーなど変化球で翻弄(ほんろう)し5安打1失点に抑えた。

さらに副島監督にとっては、同じ日本一メンバーの優勝投手、久保貴大監督率いる佐賀北が2回戦でシード鹿島を撃破したことも刺激で「久保監督には負けられない。シード(佐賀商)を倒す強い気持ちで入った」。ミラクル快進撃で全国の頂点を極めた元佐賀北戦士が、指導者でも旋風を巻き起こす。【菊川光一】