<高校野球東東京大会:立正大立正12-1大島>◇15日◇3回戦◇大田スタジアム

涙を流してベンチを出た顔が、このときはキリッと締まった。大島(東東京)のエース荒田奏斗投手(3年)だ。「応援が力になりました。ありがとうございました」。大島は部員7人。文京から3人の派遣を受けて今大会に参加でき、スタンドからは熱い応援をもらった。主将として、お礼を言いたかった。

1-12。コールド負けで夏が終わった。「負けた気がしない」。あいさつのあと、再び涙がこぼれた。2回戦(13日)では両足をけいれんさせながら、151球を投げて完封。そんな右腕が1回に3四球と3安打を許して4点を失った。天野一道監督(50)は「想定外でした。指に違和感があったのかもしれません」。右手中指に痛み止めの注射を打っていた。

昨夏、荒田は4回戦の9回に3点を失い、0-3で敗れた。体力を強化し、今年は体重を5キロアップさせて大会を迎えた。それが指のケガに泣いた。「ケガはだいぶ前で、大丈夫なんで」。言い訳はしなかった。

3年生が退部すると部員は5人になる。秋の大会参加は微妙だ。「僕は大学で野球を続けたい」。少数部員校をけん引したエースは、マウンドに立ち続ける。【米谷輝昭】