日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)がアマチュアの2つのカテゴリーを往来し、チェックを重ねた。15日に高校野球の神奈川県大会2回戦の桐蔭学園-菅戦を視察。プロ注目遊撃手の桐蔭学園・森敬斗主将(3年)と1年生ルーキーの木本圭一二塁手の二遊間にプロに通ずる一芸を感じた。

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森の足の速さはファミスタの「ぴの」(人気ゲームの俊足キャラ)のようだった。一、三塁の三塁走者で挟殺プレーから重盗を決めた時も、もっと早いタイミングで本塁に突入できたし、二盗成功もスタートは遅かった。遅れを補えるスピードは、プロに入っても1軍に生き残る中で武器になる。遊撃手として肩も強い。この日は投手としても登板し、最速142キロ。身体能力の高さはうかがえる。

技術は改善するべき部分が多い。打撃でリストを使う意識が強すぎる。本来はバットのヘッドが遅れて出てくる方がいいが、イメージ的にはヘッドが先に出てきている。手首が早く返ると線ではなく点で捉えることになり、ミスも増える。

私自身もリストの強さでプロに入れたという自負がある。それでも若手のころに落合さん(博満)に「放っておいても振る時に力が入ってリストを使う。バットを握る時は両手で蝶々をかたどり、ヒラヒラさせるように『握らない、握らない、振ってしまった…』ぐらいの脱力でいいんだ」と教わった。森も正しいリストの使い方を覚えれば、飛距離も増すし、泳がされても柔らかさでヒットにできるケースが増える。

1番を打っていた1年生の木本は将来性を感じさせる。打撃に天性の柔らかさがあり、ボールの見送り方も大きく頭を動かすことなく悠然と見られている。走攻守にそつなく、使う方も使いやすいから1年生で起用されるのだろう。高須洋介さん(元楽天)のような玄人好みな内野手になれる素質がある。