<高校野球東東京大会:日大豊山3-1雪谷>◇19日◇4回戦◇神宮

「ノーサイン野球」で戦った雪谷(東東京)の司令塔は、溝口皓太三塁コーチ(3年)が務めた。「背番号をつける監督」として信頼が厚かった。

元々は捕手や外野手を務めていた。高1の秋、練習試合でチームメートと交錯し左足すねに大けがを負った。手術後も後遺症に苦しんだ。打撃が持ち味で当初は代打での出場機会を求めた。「練習もままならない自分が、代打でいいのか」と悩み「僕は三塁コーチとして勝ちに貢献すべきだ」と決意した。

三塁コーチになっても、積極的に初球から狙う野球を目指した。選手の特徴や性格を見極めるため、練習は同じメニューをこなした。自分のサインでホームに生還し、チームの勝ちにつながることがうれしかった。

4回戦敗退。「甲子園に行きたかった、悔しい」と目が潤んだ。打席には入れなかったが「三塁コーチとして信頼してくれてうれしかった」と、尊敬する芝浩晃監督(43)に感謝した。「器の大きい人間になれ」という教えを忘れない。「恥ずかしくて言えなかったけど、芝監督のように高校野球を教える先生になりたい」と次の目標を教えてくれた。【加藤理沙】