明徳義塾(高知)の大会最年長63歳、馬淵史郎監督が、同最年少26歳の藤蔭(大分)竹下大雅監督との“37歳差対決”を制し、2年ぶりの夏1勝を手にした。

甲子園通算勝利数は51勝。帝京・前田三夫監督、横浜の渡辺元智前監督に並ぶ歴代4位となった。

新地で締めた。「パッとひらめいた。ここは新地かな、と。山田が先頭打者に四球出しそうな気もしてね」。2点リードの9回裏、山田圭祐(3年)に代え、新地智也(2年)をマウンドへ。新地は先に2死をとって無失点でしのいだ。

馬淵監督にマジックはない。あるのは勝利に最短距離と思える戦術だ。投手3人の継投策は、経験で左腕林田大成(3年)を先発、2番手は右腕山田と決め、プラスαで新地を使った。「問題はいつ代えるか。やっぱり、勝ってる時の早めがええ」。5回ゼロ封だった林田が、6点リードで迎えた6回に3失点すると、迷わずスイッチ。山田はその回1点を許したが、7、8回は0で抑えた。

攻撃では「絶対、何度かエンドランをかけたろうと思ってた」。4回裏1死一塁、5番奥野翔琉(2年)で仕掛け、先制三塁打につなげた。6回裏1死一塁、8番米崎薫暉(1年)の2球目にも仕掛けて成功。藤蔭の大分大会のデータから「スッと甘い球が来るカウントがある」と自信があった。

豊富な引き出しを使い、初戦を乗り越え、次は優勝候補の智弁和歌山戦。「大変ですよ。そりゃあ大変。誰が見ても向こうが上でしょう」。お手上げのようにこぼすが、腹は違う。「くらいつくしかない。でも、野球はわからんのです。食らいついて、うまいことやったら、何が起こるかわからん」。

甲子園51勝。猛暑の日差しを浴び、ベンチ最前列に立つ。「試合中は暑いとか一切感じません。試合終わったら、パンツびちょびちょですけどね」。気力充実の63歳が、猛暑のマンモスをおもしろくする。