山形県から8年連続で高卒のプロ野球選手が誕生する。ドラフト会議開始から約2時間後。酒田南の大砲・伊藤海斗外野手が、巨人から6位指名された。187センチ、88キロの巨体で「アナコンダ」の愛称を持つ左の強打者。高校通算36発で、どこにでも強い打球を打てるのが持ち味だ。

会議が始まり時間だけが刻一刻と過ぎていった。「伊藤海斗」の名前はなかなか呼ばれず、「ずっと待っていて緊張が不安に変わった。これがドラフトか。選ばれないかもという気持ちになった」。それでも19時前。5年ぶりにセリーグを制した巨人から吉報が届き、会見場が沸いた。「強い球団に入れてうれしい。ここからが第一歩。自分の信念を貫いて、(巨人)丸選手のように広角にどこにでも打てる選手になりたい」と意気込んだ。

1年秋から4番に座る伊藤は17、18年に秋の県大会優勝に貢献した。それでも今夏の山形大会は8強で終わり、聖地の土は1度も踏んでいない。「甲子園は届かなかったが、気持ちをリセットしてプロ野球選手を目指そう。このままではダメだと思い、スイングを見直したり、ウエイトトレーニングをやってきた」とプロに照準を合わせて己と向き合った。

酒田南からのプロ誕生は16年に中日から3位指名された石垣雅海内野手(21)以来3年ぶり。鈴木剛監督(37)は「育成(指名)を視野に入れているドラフトだった。教え子がプロになってありがたい。型にはまらないワクワクするような選手」と語った。伊藤は会見を行った後、体育館で胴上げの祝福を受けた。そして最後は部員みんなで「丸ポーズ」。憧れの丸のように東京ドームでアーチを描いてみせる。【山田愛斗】