東播磨(兵庫)が21世紀枠で選出され、春夏通じて初の甲子園出場が決まった。

同校OBの福村順一監督(48)は「うれしい。それ以外に言葉がありません」と笑顔を見せた。主将の原正宗二塁手(2年)は「出るだけじゃなく(勝って)校歌を歌いたい。それが支えてくださった方々への恩返しにもなります」と意気込んだ。

兵庫・稲美町にある全日制普通科高校。進学率99%ながら、超進学校でもバリバリのスポーツ学校でもない。普通の公立校だが、そもそも野球熱は高かった。グラウンドは福村監督が在校生だった30年以上前から黒土で、OBが約10年前に甲子園の阪神園芸に依頼して“甲子園の土”を入れた。

福村監督は加古川北を08年夏、11年春の甲子園に導いた後、14年に母校へ。さまざまなタイミングが重なって、昨秋の県大会で準優勝。近畿大会に出場し、初戦で敗れたものの、プロ注目右腕・小園健太擁する市和歌山と1-2の接戦を演じた。

昨春からのコロナ禍でSNSを駆使するなど、福村監督は知恵を絞る。グラウンド脇にはチューリップを植えた鉢植えがある。結果が出ずに悩んだ加古川北の監督時代、同僚のバレーボール部顧問に「ちょっと余裕を持って」と、花を育てることを勧められ、始めたスタイルだ。

「厳しい冬を過ごして、花を咲かせるという思いもありますが、一見、野球と何も関係ない行為がいろいろな“気づき”につながるんです」と同監督。鉢植えは女子マネジャーを含む全36部員分の36個。おのおのが目標を書いた札を差す。原主将は「日本一のリードオフマン」と書き、右腕鈴木は「エース」と書いた。

芽吹き、花が咲くのが先か、夢舞台が先か。カウントダウンが始まった。

◆21世紀枠 01年から導入。推薦校は原則として秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟129校以上はベスト32以上)から選ぶ。練習環境のハンディ克服、地域への貢献など野球の実力以外の要素も選考条件に加える。07年まで2校、08年から3校を選出(85回記念大会の13年は4校)。今回は明治神宮大会中止に伴い神宮大会枠がないため、21世紀枠を増やして4校とした。

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