<高校野球埼玉大会:浦和学院10-4昌平>◇28日◇決勝◇大宮公園野球場

ドラフト候補で高校通算56本塁打の昌平・吉野創士外野手(3年)の夏が終わった。浦和学院の3投手を打ちあぐね、3打数無安打。期待された本塁打は、5回戦の武南戦での1本だった。

祖父・忠雄さんの存在が人生を変えた。幼少時に一緒に東京ドームでの巨人戦を観戦。野球に魅せられ、小学4年で野球を始めた。練習にはいつも付き合ってもらい、プレーの基礎を築いた。

そんな大好きな忠雄さんが15年7月5日、肺がんで他界。闘病中の言葉が吉野の心を動かした。「プロになって、子どもたちを喜ばせられるような偉大な選手になってくれ」。少年の夢は「プロ野球選手」になり、努力を重ねてきた。

この大会は痛めた腰の影響で力が入らず「(調子は)4~5割程度。普段なら打てるボールも打てずに終わった」。それでも、この日の7回2死三塁では三塁へのゴロで一塁に頭から飛び込んだ。アウトになったが「自分にはできることがある」と前を向き続けた。 今後の進路は「監督とゆっくり話しあって決めたい」としたが「最終的にはプロで活躍する選手になりたい」と言った。必ず夢をかなえる-。気迫あふれるプレーは、天国に届いたはず。吉野は天を見上げ、祖父に誓った。【保坂淑子】