和歌山東がチーム一丸で来年3月のセンバツ出場に当確ランプだ。今夏の甲子園で4強入りした京都国際との一戦で1回に2点を先制。継投で逃げ切り、春夏通じて初の甲子園出場が有力となった。金光大阪は最大6点差を逆転する劇的勝利で近江(滋賀)を下し、09年以来13年ぶりのセンバツが濃厚。大阪桐蔭は東洋大姫路(兵庫)に5-0で完封勝ちし、2年連続センバツが確実だ。

最後の打者を打ち取るとエースの麻田一誠投手(2年)からガッツポーズが飛び出した。ナインにも笑顔がはじけた。「うれしいしか出てこなかった」と麻田。10年に軟式から硬式に変わり創部した公立校が、初の聖地行きを決定づけた。

リベンジに燃える一戦だった。相手は昨秋近畿大会初戦で惜敗した京都国際。米原寿秀監督(46)は「昨年負けてましたので何とかという思いでやりました」と言うと、麻田も「自分たちがやり返そうと挑んだ」と闘志を燃やした。試合前には、主将の此上平羅内野手(2年)が恒例だという、米原監督が「魂!」と叫ぶとナインも「魂!」と呼応するやり取りで気合を入れた。

1回に2点を先行すると5回には四球に犠打と暴投で1死三塁と好機を拡大。山田健吾外野手(2年)の遊ゴロの間に三塁走者が生還。無安打で1点をもぎ取ってリードを広げた。5回途中から麻田がマウンドへ。23日に続く連投だったが「絶対に甲子園に行こう」と強い気持ちで立ち向かった。9回に1点を失ったものの、最後までリードを守り抜き、1点差勝利。「150%の力が出せた」と表情は明るかった。

持ち前の機動力を生かした勝利に、米原監督は「選手が思いきって暴れ回ってくれた。周りの方への感謝の気持ちでいっぱいです」。此上主将も「純粋にうれしい」と笑顔。新たな歴史を作る、実りの秋となった。【林亮佑】

◆和歌山東 1974年(昭49)に開校した県立高。野球部は2010年(平22)に軟式から硬式へ変わった。甲子園出場はなし。主なOBはソフトバンク津森宥紀ら。所在地は和歌山市森小手穂136。市川貴英校長。