八戸北が7年ぶりの春季県大会(21日開幕)出場を決めた。昨春センバツに21世紀枠で出場した八戸西を4-3で撃破。同点に追いつかれた直後の9回2死三塁、6番荒沢元心内野手(3年)が値千金のサヨナラ打を放ち、熱戦に終止符を打った。

ヒーローの座をつかんだ。3-3の同点で迎えた9回2死三塁。荒沢は打球の行方を確認すると、拳を力強く握った。「人生初のサヨナラ打なので、とてもうれしい」。三塁線ギリギリを破る決勝打。チームを15年以来7年ぶりとなる春の県大会出場へ導き、仲間から温かい祝福を受けた。「チームで取り組んできたことが、結果につながった」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

打席の中で神経を研ぎ澄まし、思考をめぐらせた。カウント1-2。決め球に投じるのは変化球か、それとも真っすぐか。相手投手が捕手のサインに1度、首を振った。「追い込まれて(決め球は)変化球かなと思ったけど、サインに首を振ったので直球だと思いました」。確信はなかったが、迷いもなかった。読みはズバリ的中。内角直球を思い切り引っ張り、殊勲打につながった。

八戸市内有数の公立進学校として知られ、勉学と部活動の両立は言うまでもない。週休1日、平日は約2時間と練習時間は限られている。「意識を持って、質の高い練習を心がけるようにしている」。選手同士で積極的に意見を交わす。自主練習では自らと向き合い、個のレベルアップに励んできた。「筋道を立てながら手順を踏んでいく。野球も勉強にも通ずるものがある」。文系でありながら数学好きの荒沢は言った。

リベンジを誓う。夏の前哨戦となる春の県大会前に、八戸工大一との第1代表決定戦を14日に控える。「春に1回負けているので、勝って自分たちの力を証明したい。県大会ではいけるところまで頑張りたい」。一戦必勝を貫き、目の前の試合に集中する。【佐藤究】