強豪の国士舘が、箕野豪新監督(45)のもと、17年ぶりの夏の甲子園を目指す。

箕野監督は神戸製鋼を経て松下電器(現パナソニック)でプレーし、内野手として出場した05年の社会人野球日本選手権大会で優勝。06年から16年夏まで同校野球部の監督を務め、いったんはコーチを歴任した後、22年4月から再び監督に就任した。自主性を重んじた指導で、ノーシードから夏の頂点を目指す。

箕野監督の指導は、選手に自立を促すスタイル。そのカラーは、練習前のウオーミングアップに現れる。チーム全体でそろってアップをするのではなく、選手が各自で準備を進める。春の都大会でも、試合前アップは個人に任せた。「全体でアップをすると周りに合わせないといけない。それならば自分で時間をつくってほしい」。自分の身体に必要なストレッチを把握し、時間をコントロールできる選手を育てる。「ずっと同じ箇所をストレッチしている子もいますけどね」と苦笑いを浮かべながらも、思考を巡らせる選手をじっと見つめる。

自主性は練習の端々に反映されている。平日の全体練習後は自主練習の時間を設けているが、選手によっては「ありがとうございました」と頭を下げ、指導者よりも先にグランドを後にする。箕野監督は後ろ姿を見ながら、「先に帰ったからといって、特に何も思わないです。やらされた練習はうまくならないですから」と静かにうなずく。「規律を守ることは大切」としたうえで、自分なりの考えを求める。そのもとで、選手は主体的に技術の向上を図っている。

国士舘は20年の交流試合を含めると11度の甲子園出場を誇るが、夏の出場は05年のみ。夏の出場権をつかむべく、追い求めるチーム像がある。

「応援されるチームを目指しています。はつらつとしたプレーを見て、国士舘ってすがすがしいチームだなと思ってもらいたい。そしてまた、球場に足を運んでもらいたい」

17年ぶりの夏の聖地へ向け、ニュースタイルの国士舘がさわやかにグラウンドを駆け抜ける。【藤塚大輔】