第104回全国高校野球選手権大会の大会本部は8日、新型コロナウイルスの集団感染と判断されていた県岐阜商が予定通り、9日第4試合で社(兵庫)と対戦すると発表した。一部改定した感染拡大予防ガイドラインに基づき、登録選手18人のうち10人を入れ替えた。試合前72時間以内にチーム全員の陰性を確認し、出場が可能になった。

オンライン会見に臨んだ鍛治舎巧監督(71)は「異例の対応。ありがたい」と感謝した上で、「中心選手がコロナで外れています。2本柱の井上、小西もいない。(岐阜大会決勝で)サヨナラ本塁打の村瀬もいません」と明かした。

バッテリーと1、2番打者が離脱する一大事だ。新メンバー10人中、9人は岐阜から招集した下級生だが「2年生、1年生は粒ぞろい。いい選手が多い」と評価。「場所が甲子園。『できるだけリラックスして自分の力を思い切って出そうよ』と言っている。雰囲気にのまれないように」と引き締めた。

県岐阜商は3日深夜に複数の体調不良者が発生。5日の開会式リハーサルを欠席し、メンバーなど7人の感染が判明して6日の開会式も欠席した。感染者は増えたが、岐阜から下級生を中心に14人を招集。7日からシート打撃などの練習を再開していた。

新たに招集された選手について、指揮官は「緊張していますね。急すぎたところがある。通常通りやらせてあげたいが、試合にどういう気持ちで入れるか」と胸中を察した。下級生が多い構成だが、層の厚さでカバーする。「2枚看板が抜けても3枚看板がいる。140キロ台を投げた投手3人です」と鍛治舎監督。高校通算24本塁打のスラッガーで、主将の伊藤颯希外野手(3年)らクリーンアップ3人も残る。総力戦で社戦に臨むことになる。

奈落の底に突き落とされた選手にとっては仕切り直しの一戦になる。「(選手は)天にも昇る気持ちだと思います。かなり厳しいだろうと。私も9分9厘、難しいと思った」と続けた。指揮官は岐阜に帰った選手ともメール交換を重ねてきた。「みんな、彼らが帰るまで何とかつなごうな、という気持ちでいます。1試合勝てば、何人か帰って来られる」。春夏4度甲子園優勝の名門校にとって、意地の見せどころになる。失われた夏を取り戻すため、仲間たちが、一丸で1勝を取りに行く。【酒井俊作】

 

◆新たに登録された選手(<>の数字は背番号) <1>今井翼投手(2年)<2>磯野真夢(まなむ)捕手(2年)<6>大平怜碧(れお)遊撃手(2年)<8>高井咲来中堅手(2年)<9>園田進之助右翼手(2年)<10>池田諒真投手(1年)<12>垣津吏統(りとう)内野手(1年)<14>広尾由多嘉内野手(2年)<16>森厳徳(げんとく)投手(1年)<17>高橋一瑛(かずあき)外野手(2年)