<全国高校野球選手権:大阪桐蔭6-3旭川大高>◇10日◇1回戦

旭川大高(北北海道)が秋春夏連覇を狙う大阪桐蔭を苦しめた。1回1死満塁で山保(さんぽ)が中犠飛。今夏の地方大会で先制を許したことがなかった相手から先に得点を奪った。山保は「どれだけ世間は大阪桐蔭が勝つと思っても、やってきたことを信じてやれば、いい試合ができるということを伝えられた」と振り返った。

あのバスに乗っていたら、甲子園に立つことはなかった。幼少期は宮城・石巻市で過ごした。6歳だった11年前の3月11日、東日本大震災に遭い、通っていた幼稚園の送迎バスが津波にのまれた。山保は、母が迎えに来てくれたため助かった。同月末に旭川に転居後、バスに乗った幼なじみが犠牲になったことを知った。

石巻の家から持ち出せたのはグラブだけ。今でも大事に家にしまってある。「亡くなった友達の分まで頑張りたい」。7回途中からは2番手で登板。追加点を許すも、8回の打席では左越え二塁打で出塁した。池田の強烈な一直で飛び出してしまいアウトに。「ミスで得点できなかったりミスで失点したり。少し後悔はある。でも全国の舞台で大阪桐蔭と張り合えたのは良かった」。勝利はできなかったが、天国の友に、思いは伝わった。【永野高輔】