岡田阪神が高校屈指のスラッガーを指名する方針を固めた。「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」が20日、都内で開催される。阪神は高松商・浅野翔吾外野手(3年)、大阪桐蔭・松尾汐恩捕手(3年)の二者択一で会議直前まで熟考する。競合の場合は、岡田彰布監督(64)が「星占いが良かったら…」とクジ引き役も辞さない構え。9球団がドラフト1位指名を公表する異例の展開で、虎の指揮官が金の卵を引き当てる。

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日は傾きかけていた。午後5時。後輩たちが練習するグラウンドの横で、浅野は語り出した。「先週は緊張とかなかったんですけど、今日、学校にいる間、楽しみだな、早く来てほしいなと、そういった思いはありました」。不安よりワクワク感が勝る。

9月28日、巨人が12球団一番乗りで1位指名を公表した17歳を、阪神も1位候補に挙げる。岡田新監督のイメージについて「身長があまり大きくないと聞いた」と語り「それでも、あれだけホームランを打てて活躍できる。僕もマネしたい。そういう選手になりたい」とうなずく。

岡田監督は現役時代、175センチの体格で通算247本塁打。171センチから高校通算68本塁打の浅野にとって、手本のような存在だ。「身長を言い訳にせず走攻守バランスの取れた選手を目指したい」とあらためて理想像を語った。

一方、巨人原監督は「単独ということもなきにしもあらずでしょう」と一本釣りの可能性も期待している。それを受け「ラブコールっていうんですか、言ってもらえるのはほんとうれしい」と笑った。

この日の夜は「しっかり寝ます(笑い)」と自然体。夏の大会で必勝祈願のため通っていた神社に参拝予定で「無事に指名していただけるようにお願いして学校に向かおうかなと思います」。夏の香川大会優勝、甲子園での大活躍を導いた願掛けで1日を始める。

以前から、指名されれば「12球団OK」の姿勢を示している。この日はランニング、ウエートトレーニングで約1時間汗を流した。サイドを刈り上げ、髪形もばっちり。満を持して運命の日を迎える。【中野椋】