甲子園V主将が新天地の関西でさらなる飛躍を期す。

仙台育英(宮城)佐藤悠斗前主将(3年)が、関西学生野球の同志社大(京都)に進学する。今夏の甲子園では東北勢悲願の初優勝を成し遂げ、深紅の大優勝旗をつかんだ。主将就任で芽生えた責任感と覚悟を胸に、自らの信念を貫き通し「日本一の集団」をまとめ上げた。大学でも投手と外野手の二刀流でプレーしていく。

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甲子園V主将が同志社大で再出発する。佐藤は「下級生からどんな形でもベンチ入りしたい。全国の舞台で活躍できる選手になりたい」と気持ちを新たにした。高校時代は投手と外野手を兼任。投げては最速141キロをマークし「可能性があるならどっちも挑戦したい」と投打の二刀流で勝負する決意を示した。

名高き仙台育英の主将として最後まで駆け抜けた。主将就任は昨秋の東北大会後だった。同大会準々決勝で花巻東(岩手)に2-8の完敗。センバツ出場は絶望的だった。最後の夏に向け、チームをどうまとめていくのか。佐藤は「嫌われる」覚悟を持ったと明かす。「キャプテンは嫌われ役にならないといけない。言いづらいこと、怒りづらいことも言うしかなかった」。気になったことはすぐに指摘し、仲間を厳しく叱ることもしばしば。「誰彼かまわないで言うタイプで、怒鳴ることもありました」と心を鬼にする一方で、責任感ある言動と行動でナインを引っ張り続けた。

主将としてぶれない信念があった。常に物事をネガティブに捉え、客観視できるかどうか。佐藤はこう言う。「物事を常に不安視してネガティブにならなければキャプテンには向いていない。勝ちに理由がない時はあるけど、負けには必ず原因がある。常にポジティブに『できる、できる』と思っていても、1つ疑いをかけないと足もとをすくわれてしまう。主将はチームの先頭に立つよりも、一番後ろにいても良いと思っています」。

高校3年間でやり残したことはない。今夏の甲子園で東北勢の悲願だった初優勝を成し遂げ、「高校野球生活を後悔なく終わりたかった。(甲子園決勝で)負けても後悔はなかったけど、最高の形の終わり方だった」と充実感を漂わせた。高校野球を完全燃焼でやり切り、新たなステージへと羽ばたいていく。【佐藤究】

◆佐藤悠斗(さとう・ゆうと)2005年(平17)2月23日生まれ、宮城県名取市出身。小4から愛島ブレイブハーツで野球を始め、名取一中時代は仙台南リトルシニアに所属。仙台育英では2年春にベンチ入り。179センチ、87キロ。左投げ左打ち。好きなプロ野球選手は巨人中田翔。好きな有名人は山田裕貴。尊敬する人物は両親。家族は両親と祖父母。