沖縄水産が7-2で北中城に逆転勝ちし、2年ぶりの初戦突破を決めた。

大海原へ旅立った仲間へ、吉報を届けた。先発した山崎海颯(かいと)投手(3年)が7回0/3を2安打2失点(自責1)の好投。4回に1点を先制されたが、「ベンチからの『切り替えろ!』の声で立ち直れた」と崩れることはなかった。キレのある直球に、緩い変化球で緩急を駆使。夏初戦で緊張感もあったが、最少失点で踏みとどまった。

試合後、山崎は「悔しい思いをしているのがキャプテン。その分も、絶対に勝たないといけなかった」と心境を打ち明けた。

実は、今大会、チームは絶対的支柱を欠いている。主将でもあり、昨秋と春でエースナンバーを背負った、小浜大夏投手(3年)が不在だ。海洋技術科に所属するため、今月上旬に40日間の海洋実習に参加。目的地の台湾へ向け、出港したという。山崎は「今(小浜は)船に乗っている。夏の沖縄大会には出られない」。日程通りに進めば、沖縄大会決勝は7月16日で間に合うことは難しい現状だ。

もう1度、一緒に野球をするために-。残された道は、ただ1つ。「甲子園が始まる(8月6日)前までには(小浜は)帰ってくる。自分たちが甲子園に出れば、キャプテンもまた試合に出られる」と言う。

春夏合わせ12度の甲子園に出場し、90年、91年夏に2年連続で全国準優勝と言わずと知れた伝統校でもある。チームの合言葉は「古豪復活」。次戦は春の県大会2回戦で敗れた相手で、シード校の西原と対戦する。山崎は「キャプテン(小浜)から『絶対、西原に勝ってこい!』と言われている」とリベンジを託され、闘志をみなぎらせていた。

沖縄水産ナインが挑む、負けられない夏の物語が始まった。

【高校野球 各地のスコア・日程】