昨夏甲子園優勝の仙台育英が仙台城南に18-0で大勝し、2年連続30度目の優勝を果たした。同優勝メンバーの尾形樹人捕手(3年)が、須江航監督(40)の“熱投”に応えるように、先制適時打を含む4安打6打点でけん引。守備でも4投手を好リードし、夏連覇への挑戦権をつかんだ。

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仙台育英の扇の要が大舞台で躍動した。0-0の4回1死満塁、応援席が盛り上がる中、第1打席で内角直球を右前打した尾形は、いいイメージで打席に入った。「ランナーをかえすことを意識した。ストレートが自分の中ですごく相性がいい球だと思った」。1ボールから狙っていた直球を引っ張り、打球は右中間へ。走者一掃の3点適時三塁打で気持ちは高揚した。

「いろいろな方々が応援に来てもらい、すごく声援をもらった中で一本見せられた。甲子園で優勝した時とは違ったうれしさというか、自分の代になって県決勝でこういった打撃ができたのはうれしい」

今春の東北大会後はチーム全体で打撃を磨く中、指揮官と特訓もこなした。須江監督は「朝練習の前にアーリーワークを課して、僕もいっぱい投げて、彼に何百球も投げました。そうしたらけんしょう炎になりました(笑い)」。その特訓が実を結び、尾形は前日22日の準決勝で本塁打を含む2安打。決勝はチーム最多の4安打を放ち、安定感のある守備だけでなく、バットでも存在感を発揮した。

強力な投手陣で無失点に抑え、2桁得点と圧倒してつかんだ宮城王者の称号。同監督は「(尾形は)この大会の中で成長していくのが非常に見えた。下位打線が力をつけると甲子園でも非常におもしろい野球ができると思う」。総合力のある戦力でもう1度、優勝をつかみにいく。【相沢孔志】

◆仙台育英 1905年(明38)創立の私立校。生徒数は3225人(女子1494人)。全日制は特別進学コース、外国語コースなどがあり、広域通信制もある。野球部は30年創部で部員数73人。甲子園出場は春15度、夏30度目。最高成績は22年夏に春夏通じて東北勢初優勝。主なOBはソフトバンク上林誠知、ロッテ平沢大河ら。仙台市宮城野区宮城野2の4の1。加藤雄彦校長。

 

◆仙台育英の22年夏の甲子園 全試合継投で勝利し、春夏通じて東北勢初の甲子園優勝を果たした。ベンチ入り投手全員が最速140キロを超え、決勝は8-1で下関国際に勝利。須江監督が優勝インタビューで発言した「青春って、すごく密なので」がユーキャン新語・流行語大賞の選考委員特別賞に選ばれた。

 

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