開志学園が最大6点差をひっくり返し、12-10で北越に勝利した。8-10の9回表1死一、二塁で代打の田辺悠人捕手(2年)が同点二塁打を放つと、続く山浦雄駿(ゆうま)捕手(1年)の左越え三塁打で勝利をたぐり寄せた。

新発田農は村上に7-0で7回コールド勝ち。3番・渡辺泰地中堅手(1年)が3打数2安打。3回裏1死二、三塁で中前に先制打を放って打線に火をつけた。

   ◇   ◇   ◇

3時間21分の激闘は、開志学園に軍配が上がった。9回表。2点を奪い、10-10と同点に追いつき、なお9回1死二塁。「初球は振ろうと決めていた」と山浦は内角に来た直球を迷わず振り抜く。打球が左翼手の頭を越えたことを確認した山浦は一塁ベース手前で右拳を突き上げ、三塁に到達した瞬間に雄たけびをあげた。「(みんなが)つないでくれた。気持ちで打った」と言った。

どうしても打たなくてはいけなかった。守備では3回に自身の送球ミスで相手に逆転のきっかけを与え、打席でもここまで3度のチャンスですべて凡退だった。「守備も打撃も、自分でストップさせてしまっていた。最終回は自分がやるしかないと思ってた」と強い気持ちで挑んだ最終打席。前を打つ代打の田辺に「自分に回してください」と伝えると、その田辺が同点打。そして巡ってきた6打席目、最高の形での汚名返上になった。

今夏は3回戦の糸魚川戦で6点差をひっくり返され、12-13で敗れた。この夏の悔しさを知るからこそ、同じ6点ビハインドでも誰も諦めていなかった。川上大輔監督(34)は「夏が終わってから口酸っぱく言ってきた。よくやってくれた」と笑顔で選手をたたえた。

今夏4強の北越戦を制し、1つの山は越えた。目標の「センバツ出場」に向け、「これからも相手はどんどん強くなっていく。気持ち切らさずに、勝ち進んでいきたい」と山浦がチームの勢いを加速させる。【大島享也】