聖望学園が星野に快勝して初戦を突破した。夏の埼玉大会後、新チーム発足と同時に監督に就任した浮中久生監督(48)の初陣を飾った。浮中氏は横浜(神奈川)で19年間コーチを務め、地球環境(長野)で約3年間監督を務めた。

先発したエース左腕・向深沢(むこうふかさわ)要投手(2年)が力のある直球とチェンジアップを駆使し、3回を1安打6三振無失点と星野打線を寄せ付けず。4回から一塁の守備に就き、4点リードの9回無死二塁から再びマウンドへ。後続を左飛、投ゴロ、一飛で反撃を許さなかった。4回からリリーフした嶋津寿樹投手(2年)は5イニングを1失点に抑えた。

打線は1回に失策から無死三塁とすると、向深沢の適時打など4安打4得点の猛攻。5回には主砲が衝撃の1発を放った。1死から4番中村アラシュ外野手(2年)が「ストレートに詰まっていたので、長打を狙ってベースから離れて思い切り引っ張った」と内角高めの直球を左翼席後方の防球ネットに直撃するソロを放ち、リードを広げた。

中村はイラン人の父を持ち、186センチ・90キロと恵まれた体格で高校通算21発。50メートル走も6秒ジャストと抜群の身体能力も誇る。守備でも中堅を守り、俊足を生かした守備範囲の広さが武器だ。チームは今夏埼玉大会初戦敗退から再起を期しており「4番の仕事ができればいいかな」と引き締まった表情で話した。

浮中監督は「選手は野球に対して本当に一生懸命。ほっといたら何時まででも練習をやる。そういった部分を伸ばしていけたら。ただ勝てば良いっていう事ではなく、周りの方から人間的に成長してると思ってもらえるように」と新たなチーム作りへの抱負を語った。

聖望学園は22年夏の甲子園を最後に、37年間監督を務め、阪神の鳥谷敬氏(42)らを育成、08年センバツ準V、夏は5度の甲子園出場に導いた岡本幹成監督(62)が退任。新監督に鳥谷氏の同期だった宮崎広春氏(41)が就任した。しかし同年11月に部員の飲酒と喫煙が判明し、1カ月の対外試合禁止処分を受けると、23年4月から飯牟礼俊昭氏(59)が監督に就任。夏の埼玉大会後の新チーム発足と同時に浮中氏が監督を務めている。【黒須亮】