今夏初の甲子園に出場した共栄学園が、板橋に守り勝って2回戦進出を決めた。

夏の東東京大会で、数々の逆転劇で聖地への切符をつかんだ「ミラクル共栄」。秋も我慢の展開ながら、コツコツと先の塁を奪った。1回、安打と四球で1死一、二塁とすると、重盗を仕掛け好機を広げる。ここで4番田中来希外野手(2年)が左前に先制の適時打を放つと、後続の内野ゴロの間に2点を先制した。

2点リードの8回には、安打で出塁した田中の代走・池田幸世外野手(2年)が二盗と三盗に成功。相原伶音内野手(2年)の適時打で貴重な追加点を奪った。

板橋先発の柴山の前に10三振を喫し、放った安打は単打5本のみ。重苦しい展開も、7盗塁で1つずつ塁を進め、プレッシャーを与え続けた。原田健輔監督(37)は「打てないのでああするしかないですかね。少ないチャンスをどうにかして」とミラクルに頼らない堅実な野球を掲げる。

投げては先発の田嶋勇斗投手(2年)が4本の長打を浴びるも得点を与えず。最速142キロの直球にスライダーとフォークを決め球に、9回を5安打9三振3四死球で完封勝利を挙げた。甲子園の聖光学院(福島)戦でも登板し、2回1/3を4安打2四球2失点と苦い経験を味わった。「夏の甲子園が終わってから、応援やピンチでも動じなくなった」と、この日も7回から3イニング続けて走者を二塁に背負うピンチで、後続を打ち取った。守備陣も無失策で田嶋をもり立てた。

初の聖地を経験しても、チームは普段通りだ。次戦は15日に昨秋覇者の東海大菅生と対戦する。原田監督は「甲子園たまたま行きましたけど、ウチは一級品の選手が来てるわけじゃないので。プレッシャーかけちゃうと尻込みしてしまうし、甲子園出ないといけない学校でもないので、楽しくやろうよっていう感じです。去年は予選の初戦で敗退してるので、もうここまで来られただけで御の字です」と笑いながら話した。「ミラクル共栄」から「コツコツ共栄」へ。奇跡に頼らずノビノビ堅実に、得点とアウトを積み重ねる。【黒須亮】