常総学院(茨城1位)が専大松戸(千葉2位)を8回コールドで破り、2回戦進出を決めた。

名将“木内幸男”が降臨した!? 3-1で迎えた4回、先頭の杉山陽大内野手(2年)が一塁内野安打で出塁し、次打者のカウント1-1で積極的に二盗を試みるも盗塁死に。島田直也監督(53)は、この場面を「(20年に亡くなった元監督の)木内さんが『失敗してもどんどんいきなさい』と降りてきた」と振り返った。

日ごろから選手たちには「失敗しても恐れるな」と、指導してきた。「自分自身が、消極的になっちゃいけないと思ってサインを出した。外されても、アウトになってもOK、と」。そんな積極采配に、選手はアウトになっても、前を向いた。盗塁死で走者がなくなった後も、2死一塁の場面を作り、若林佑真内野手(2年)が左越え適時打を放ち1点を追加した。選手たちは、攻撃の手を緩めず、その後も小刻みに加点し、8回コールドで試合を締めた。「失敗したからといって消極的にならず。積極的に」。木内元監督の教えが、根付いていた。

相手の専大松戸・持丸修一監督(75)は、03年から07年まで常総学院で指揮を執った。その縁もあり、島田監督は就任当初から相談にのってもらった。島田監督は「どうやって機動力を使うのか。打者もしっかりつないでくる。後半は点差があっても怖かった。勉強させてもらう、いい機会になりました」と、持丸野球の細かさに怖さを感じた。

一方の持丸監督は「(常総学院は)いいチームができたね」と敵ながら、あっぱれと言わんばかりに笑顔を見せた。島田監督の就任当初を振り返り、「元プロ野球選手だから、細かい野球はやらずにプロのように、ただ打つだけのチームを作るのかと思ったら、違った。走塁もスキを見て走る。高校野球はスキがあったら利用するということを覚えてきたのかな」と、島田監督の成長に目を細めた。

恩師・木内元監督の野球も生かしながら、高校野球の指導者として光る采配を見せる島田監督。選手とともに、1戦ごとに成長を続けている。