<高校野球宮城大会:東北8-3東陵>◇20日◇準々決勝◇Kスタ宮城

 東北は1番夷塚圭汰内野手(3年)のランニング3点本塁打から快勝した。

 東北の新リードオフマンが、突破口を開いた。4回2死二、三塁。中堅手のダイブも実らず、打球がフェンス方向へ転がっていく。それを確認した夷塚は、一気にベースを1周。高校初のランニング本塁打を含む2安打5打点に「打率が2割5分くらいだったので、今日は何とかしたかった」とさわやかに笑った。

 大会前に酒井翔弥外野手(3年)が負傷したため、3番から1番に回った。慣れない役回りだが「センター中心に打ち返せ」という父博さん(41)の言葉を思い出した。博さんは東北マークスの元選手で、高校時代の87年夏に一関商工(現一関学院)の外野手として甲子園に出場している。「父のマネをしていて気付けば左打ちになっていた」。父と同じ俊足好打の切り込み隊長として、チームを鼓舞する。

 昨春センバツは9番二塁で先発したが、初戦の大垣日大戦で0-7。夏はまだ聖地の土を踏んでいない。「やっぱり夏は特別。ノーシードから甲子園出場もかっこいい」。昨秋、今春と低迷した伝統校を、力強く引っ張る。【今井恵太】