<全国高校野球選手権:組み合わせ抽選会>◇5日◇大阪国際会議場

 開幕勝利へ、走れ!!

 全国高校野球選手権の組み合わせ抽選会が行われ、2年ぶり3度目出場の常葉学園橘(静岡)は、主将の城戸健太朗捕手(3年)が8日の開幕戦を引き当てた。県勢の開幕戦は94年の浜松工以来7度目。相手は8年ぶり7度目出場の福井工大福井に決まった。ともにつなぎを重視するチームだが、盗塁数は常葉橘が圧倒。積極走塁で県勢3年ぶりの初戦突破を狙う。

 全体17番目、城戸の左手が大舞台を引き当てた。「常葉学園橘高校、1番」。ここ3年連続の2日目第1試合(09年は雨天順延の影響)からさらに1日早く、日本中の注目を浴びる開幕戦に飛び込んだ。「最高です」ときっぱり。その後の選手宣誓の抽選は外れ「持ってない」とこぼしたが「早めに試合ができるのはいい」と、組み合わせには大満足だ。大ホールの前から3、4列目で見守ったチームメートも笑顔だった。清水大詩内野手(3年)は「最高」と歓迎。黒沢学監督(35)は「うちにとって新たな歴史が刻まれる」と未知の舞台に気を引き締めた。

 対戦相手は最後に決まった。選手が「分からない」と口をそろえた福井工大福井は数字を見ればタイプが似ている。チーム打率3割2分1厘は2割9分1厘の常葉橘を上回るが、福井大会5試合で二塁打6本、三塁打3本、本塁打0本と打線はつなぎが基本。大須賀康浩監督(58)が「1、3、5番の打撃のチーム。4番はつなぎ」と語るほどだ。静岡大会決勝を単打10本で勝った常葉橘同様、コツコツ塁を進めてくる。

 エース右腕の菅原秀(3年)は、最速148キロを誇り福井大会では4試合で44奪三振。常葉橘は県7試合で20盗塁の足が鍵になりそうだ。城戸も「野球を動かして勝てればいい」と、いつもの積極策を描く。2回戦の相手は秋田商に決まっているが「一戦必勝です」と目の前に集中する。練習は今日6日と明日7日のリハーサル後の残り2回。イメージを高めて総仕上げに入る。【石原正二郎】