<高校野球秋田大会:角館2-0明桜>◇20日◇準々決勝◇こまちスタジアム

 角館が明桜を破り、26年ぶりの4強入り。エース相馬和輝(2年)が3安打完封で、プロ注目の左腕、砂田毅樹(3年)に投げ勝った。

 マウンドで勝利の雄たけびを上げたのは、角館のエース相馬だった。明桜の143キロ左腕、砂田との投げ合い。湯沢淳監督(37)から「どっちも球は速いから気にすんな」と助言され、130キロ台前半に抑えた直球を外角低めに集め続けた。打線が先制点を挙げた5回以降は、二塁を踏ませぬ投球。「勝負どころで甘く入ったので70点」と控えめながら、砂田を上回る9奪三振で今大会2度目の完封勝利を挙げた。

 県内屈指の好右腕だが、平和中時代は主に捕手だった。中2の時に肘を痛め、負担をかけないようにテークバックを小さくする投げ方にしたことが野球人生を変えた。高校入学直後、「腕の振り、球筋が良い」と湯沢監督から勧められて投手に転向した。「ホームベースから中堅のフェンスを越えた」強肩をマウンドでも生かし、直球の最速は139キロ。本格的な投手歴は1年半足らずだが、東北NO・1左腕に投げ勝つまでに成長した。

 この日は来春統合する角館南の生徒を含めた全校応援が、相馬の力投を後押しした。1回戦から4試合31イニングを1人で投げ抜いてきた鉄腕。疲労の色は濃いが「ここで満足せず、勝つことだけを考えて投げる」。初の甲子園出場に向け、腕を振り続ける。【今井恵太】