<高校野球南北海道大会:北照5-2函館大柏稜>◇20日◇準決勝◇札幌円山

 南北海道の決勝は、北照と駒大苫小牧の顔合わせとなった。3年ぶりの春夏連続甲子園を目指す北照は、6回から救援したエース大串和弥(3年)が7回に決勝打を放ち、函館大柏稜を4回無失点に抑えた。6年ぶりの甲子園を狙う駒大苫小牧は、エース石井塁(3年)が函館大有斗打線を4安打完封し、2年ぶりの決勝進出。史上初となる3季連続同一カードの頂上決戦で両校が雌雄を決する。

 北照のエース大串が、貫禄のマウンドさばきで春夏連続甲子園をぐっと近づけた。1-2の6回裏から救援し、4イニングを2安打無失点。7回には2度、一塁走者を得意のけん制で刺し、走者を塁にくぎ付けにした。打っては2-2の同点に追い付いた7回表2死二、三塁で中前適時打を放ち、逆転に成功。「みんながつないでくれた。打てたのはたまたまだけど、運も実力ですから」と笑った。

 信頼は厚い。「やっぱりエースがマウンドに上がると、チームの雰囲気も変わる」と河上敬也監督(54)。吉田主将も「大串が出て、流れがすごい変わった。さすがエースです」と言った。1年時から主戦として数々の大舞台を戦い抜いてきた。先発した2年生の斎藤にも「よく投げたな。あとは任せろ」と、頼もしくバトンを受け取った。

 最後の夏、自分に課したテーマは「笑顔」だ。1回戦からあえて笑顔を心掛けてみたが「作り笑顔だったから、やめよっかなーと思った」と言う。しかし、準々決勝の北海道栄戦からは「投げてることが楽しくなってきた」と、自然に笑顔が出るようになった。チームメートと野球ができる喜びを心から感じている。

 勝っても負けても、札幌円山での試合は、今日21日が最後となる。「この夏のために2年半やってきた。最後までマウンドに立って、勝って雄たけびを上げたい」。そう言って、ニコッと笑った。最後まで笑顔で、大輪の花を咲かせてみせる。【保坂果那】