<高校野球秋田大会:角館1-0大曲>◇21日◇準決勝◇こまちスタジアム

 角館が大曲に勝ち、26年ぶり4度目の決勝進出を決めた。相馬和輝投手(2年)が、6安打7三振で今大会3度目の完封。明日23日の決勝は初の甲子園出場をかけて、昨夏代表の秋田商と対戦する。

 歓喜に沸いた直後、角館のエース相馬は泣いていた。中学時代は捕手。投手としての才能を見いだしてくれた湯沢淳監督(37)にとって、初の決勝進出と聞いていただけに「絶対に負けられなかった。湯沢先生に恩返しできたかなと思って」と感極まった。今大会3回目の完封。最高の形で、角館OBでもある恩師に26年ぶり決勝をプレゼントした。

 1回戦から5連続完投。右肩は重く、腕の振りは鈍った。最速139キロの直球は120キロ台前半がほとんどで、5回まで毎回走者を許した。「いいところはほとんどなかった。守備に助けられた。感謝してます」。春の県大会は守備の乱れが敗因だったが、この日は無失策。走者が出ても、守ってくれる安心感が相馬を後押しした。相手バッテリーのミスで決勝点を挙げると、余力を振り絞ってギアチェンジ。130キロ台に戻った直球で押し、8回はアウト3つを三振で奪った。

 初の甲子園まであと1勝。来春に角館南と統合することもあり「監督、仲間、応援してくれる地域の人たちも含めて、甲子園で1勝する」と宣言した。県南地区の夏の甲子園は69年の横手のみ。その右腕で、長く閉ざされた扉をこじ開ける。【今井恵太】