<高校野球南北海道大会:北照10-4駒大苫小牧>◇21日◇決勝◇札幌円山

 甲子園は遠かった。春の全道王者の駒大苫小牧は、センバツ8強の北照に敗れ、6年ぶりの夢舞台にはわずかに届かなかった。佐々木孝介監督(26)は「あと1本、あと1球、あと1歩…。うーん…、勝たせてあげられなかったですね。選手の責任じゃないです」と自分を責めた。

 ライバル校との最後の戦いに負けた。史上初の3季連続同一カードとなった決勝。秋に敗れてセンバツを逃し、一時、チームはどん底まで落ちた。しかし、春はリベンジを果たして優勝。1勝1敗で迎えた夏は、自信がみなぎっていた。

 打席に入る選手は、気迫を前面に押し出した。8回裏、2点差を詰めて4-4の同点に追いついた。チームのスローガンでもある「勝利への執念」だった。だが、9回にまさかの6失点。その裏の攻撃では最後まで「まだいける。これからだ」と声を掛け合い、諦めなかったが、3者凡退で力尽きた。先発したエース石井は「自分が打たれてしまって、最後の最後にチームに貢献できなかったのが悔しいです」とうつむいた。

 春の全道優勝は、ナインにとってプレッシャーになっていた。91人の部員をまとめてきた高橋主将は「少なからず(重圧が)あった。甲子園が当たり前のチームではないので」と明かした。そんな苦しさをはねのけ、勝ち上がった。「3度、決勝の舞台に立たせてもらって、感謝したい。後悔はない」と涙をこらえて言った。佐々木監督は「駒大苫小牧はまだまだ強くなれる。力のない監督についてきてくれた3年生に感謝したい」。26歳の指揮官にとっても、最高傑作のチームだった。【保坂果那】