<高校野球兵庫大会:報徳学園5-0須磨翔風>◇24日◇5回戦◇ベイコム野球場

 3年ぶりの夏の甲子園を目指す報徳学園に救世主が現れた。プロ注目右腕のエース乾陽平(3年)が不調の中、2年生の田中和馬が須磨翔風を4安打に封じて初完封。永田裕治監督(49)を「ここまで放ると思ってなかった。よく投げてくれた」と喜ばせた。

 ベンチ入りはこの大会からだった。昨年7月に右肘を手術し、練習再開は今年2月初旬。約1年間の空白期に「このまま置いていかれるのかな」と不安もあった。しかし5メートルのキャッチボールから徐々に距離を広げ、地道に調整を続けた結果、3月から練習試合や紅白戦に登板。春の大会ではメンバー入りできず、悔しい思いをしたが「3年生と最後に1回やりたい。ベンチに入って甲子園に行きたい」という思いで背番号11を手にした。

 初登板は3回戦の姫路戦。6回から3イニング投げ、3安打1失点でリードを広げられた。しかし4回戦の篠山鳳鳴戦は8回2安打無失点で先発デビュー。この日の好投で信頼感を増した。エースが本来の姿を取り戻すまで、田中和がマウンドを守る。【辻敦子】

 ◆田中和馬(たなか・かずま)1996年(平8)11月14日、神戸市生まれ。西落合小3年から「西落合少年野球部」で野球を始める。西落合中ではヤングリーグ「神戸須磨クラブ」で投手。2年春に全国大会に出場し、優勝に貢献。今大会からベンチ入り。最速140キロ。遠投110メートル。172センチ、73キロ。右投げ右打ち。