<高校野球山形大会:日大山形7-3米沢中央>◇26日◇決勝◇荘銀・日新スタジアム

 日大山形が米沢中央を下し、6年ぶり16度目の甲子園出場を決めた。打線は3本塁打を含む計11安打で効果的に得点を重ね、2投手の継投で逃げ切った。選手たちは創部55年目の節目の夏に、自らが持つ県記録更新の「甲子園4強以上」を目標に掲げた。

 日大山形が、米沢中央を力でねじ伏せた。幕切れはあっという間だった。4点リードの9回裏1死二、三塁。相手2番打者のライナーを遊撃手の奥村展征主将(3年)がダイレクトでキャッチ。すかさず三塁に転送し、飛び出していた走者を併殺に仕留めた。選手たちはマウンド近くに大きな輪を描いて喜びを爆発させた。6年ぶりの甲子園。頂点に届かなかった先輩たちの分も合わせ、ナインの手で6度宙に舞った荒木準也監督(41)は「本当に選手に恵まれた。頼もしかった」とナインをたたえた。

 打線は2回表1死一、三塁。7番武田匠平外野手(3年)の初球スクイズで三塁走者の奥村が先制ホームにすべり込み、主導権を握った。3回以降は、峯田隼之介外野手(3年)の右越え2ラン、エース庄司瑞(3年)、青木龍成外野手(2年)の右越えソロの3本塁打を交え、効果的に追加点を挙げた。

 投げては、初戦から5試合連続先発の庄司が今夏最長の8回を8安打3失点(自責1点)とゲームメーク。9回から斎藤涼汰(3年)が救援し、逃げ切った。勝利目前でマウンドを譲った庄司は「ちょっと悔しいけれど、チームの勝利が大事。甲子園で完投したい」と気持ちを切り替えた。

 3月下旬の関東遠征では甲子園上位実績校と練習試合を重ね、日大三(東京)からは「パワー」、健大高崎(群馬)からは「機動力」、東海大相模(神奈川)からは「粘り」の重要性を学び、経験値を高めた。打撃陣は5秒間隔の素振り1時間(計720回)を含む1日1000スイングを目標に掲げ、力をつけた。日大三戦で先発完投した庄司も「めった打ちされて、県内でこわいものはなくなりました」と全国レベルとの対戦を自信に変えた。

 自らの持つ県勢最多の甲子園出場記録を16度に伸ばした。06年には県記録の8強入りをしているが、奥村は「ベスト4以上で歴史を変えたい」と意欲。荒木監督は「甲子園で勝つのは大変なこと。どこが来ても、まず1勝が目標」と相手を選ばない強さを求めた。【佐々木雄高】

 ◆日大山形

 1958年(昭33)、山形第一高等学校として設立。62年日本大学と合併する。生徒数は1272人(女子413人)。野球部は58年創部で部員は86人(マネジャー5人含む)。甲子園は過去夏15回、春3回出場。ほかに運動部では男子バレーボール部、男子バスケットボール部などが全国レベル。主な卒業生は栗原健太(広島)。所在地は山形市鳥居ケ丘4の55。近藤博七校長。◆Vへの足跡◆2回戦8-4山形城北3回戦9-0米沢興譲館準々決勝7-3鶴岡東準決勝8-5酒田南決勝7-3米沢中央