ついに元プロ野球監督の、高校生指導が実現する。オリックスで監督を務めた石毛宏典氏(57)が、千葉商大付の「テクニカルアドバイザー」に就任したことが2日、分かった。1日に初指導を行い、今後は今夏の千葉大会開幕前など、随時練習に参加する予定だ。

 今年からプロ野球経験者が、高校、大学を指導するための新制度が導入された。石毛氏もプロ、アマ双方の研修を受け、学生野球資格を回復したことで、高校生の指導が可能になっていた。元プロ監督では、元阪神監督の藤田平氏(66)、元横浜監督の大矢明彦氏(66)、元近鉄監督佐々木恭介氏(64)ら10人が資格回復したが、母校以外で本格的に高校生を指導するのは、石毛氏が初になる。

 千葉商大付は、昨夏は3回戦で敗れるなど、82年センバツ以降甲子園出場経験がない。同校の染谷希一監督(59)が石毛氏と同じ駒大OBで、2学年上という関係から、就任が実現した。染谷監督は「大学の時から、将来はアマチュア野球の指導に意欲を持っていました」と言う。

 前日1日の初指導は、石毛氏が試合を見て、気付いた点などを選手に伝えた。「負けてたまるか」という思いなど、精神的な強さを求める話もあったという。今後は非常勤ながら、夏の大会に向けてより実戦的な指導を行う予定。染谷監督は「チャンスに強いバッターでしたから、チャンスでの心構えなどを聞きたい。(石毛氏に)言ってもらうと、選手にとっては大きい」と期待する。

 ◆石毛宏典(いしげ・ひろみち)1956年(昭31)9月22日生まれ、千葉県出身。市銚子-駒大-プリンスホテルをへて、80年ドラフト1位で西武に入団。翌81年に新人王に輝くと、86年にはMVPを獲得。95年シーズンからダイエーにFA移籍し、96年引退。ベストナイン8回、ゴールデングラブ賞10回。02年からはオリックス監督を務め、03年のシーズン中に退任。04年には四国アイランドリーグを設立した。

 ◆学生野球資格回復のための新制度

 昨年6月に承認されたプロ野球経験者が、学生野球の指導者になるための制度。これまで高校の指導者になるには教員免許を取得した上で2年間教壇に立つことが必要だったが、撤廃。プロ側、アマ側が定める双方の研修を受講すれば指導可能になった。初年度の資格回復者は現在まで456人。非常勤のコーチは、北照(北海道)に松岡弘氏(元ヤクルト)、春日部共栄(埼玉)に土肥義弘氏(元西武)らがいる。