<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇4日

 「日本一

 やるしかない」。宮城代表の利府・渡辺智也投手(3年)が、帽子のつばの裏に決意を示した。雨によるグラウンド不良で室内での練習となったが、渡辺は15球投げ込むなど初陣へ向けて士気を高めた。

 利府のラッキーボーイ渡辺が、大きな目標を秘めていた。「日本一

 やるしかない」。大阪入りした2日、新調した帽子のつばの裏にマジックで記した。夏は初出場。まずは初戦突破だが、高いハードルを書き込み自らを奮い立たせた。「早く投げたい」と、試合が待ち遠しい様子だった。

 甲子園のグラウンドには立てず、30分間の室内練習になった。右腕はマウンドで15球を投げ「短い時間で、狭い中でもやれることはやった」と納得の表情を見せた。この夏、初めて戦力として起用された。主に中継ぎとして5試合に登板し、12回2/3を無失点。決勝戦では優勝を決める三塁打を打った「持ってる男」だ。継投策が得意の利府では背番号11。甲子園でも2、3番手での登板が予想される。

 チームは暑さ対策に余念がない。宮城大会優勝後、校内のビニールハウスで長袖を着て練習した。大阪の宿舎でも選手全員が長袖を着て寝る。エアコンは「弱めで温度28度」(渡辺)に設定。選手の体重管理をしている穀田長彦監督(44)は「昨日(3日)練習して、体重は平均で2キロ落ちていた」と、スリムになったことを明かした。

 明日6日の組み合わせ抽選会で、初戦の相手が決まる。「どことやりたいとかはないけど、注目されるスラッガーがいたら、しっかり抑えたい」。「日本一」を書き込んだ渡辺は、前だけを見ている。【久野朗】