<全国高校野球選手権:富山商2-0日大鶴ケ丘>◇11日◇1回戦

 大会NO・1左腕、富山商・森田駿哉投手(3年)が、最速144キロをマークして、完封スタートを切った。日大鶴ケ丘(西東京)を6安打8奪三振で無失点に抑え、勝利した。台風11号の影響で、史上初めて開幕から2日間順延となったが、熱い戦いがスタートした。

 富山商の183センチ左腕森田がキレキレのスライダーで日大鶴ケ丘を完封し、同校に04年以来10年ぶりの夏1勝をもたらした。この日の8奪三振は、すべてスライダーで空振り三振に仕留めた。

 2点リードの8回2死一、三塁のピンチでは、3番の左打者山岸に外角低めに逃げるように、斜め下へ鋭く落として空振り三振を奪った。「あの場面は三振が取りたかった。今日の中で一番いい球。イメージ通りでした」。会心の1球だった。最速146キロ左腕のこの日の最速は144キロ。相手に狙われていると感じた中盤からスライダー主体に切り替え「0」を並べた。

 「県大会では野手に迷惑をかけたので」。県大会はフォームを崩し制球に苦しんだ。大会後から体重移動を修正。台風11号の影響での2日間延期も、時間的プラスになった。

 中学時代から富山では速球派として有名だった左腕は、この1年でさらに成長。冬場に走り込み体重は昨秋から5キロ増。身長も2、3センチ伸びた。球速も5キロアップ。100球すべて変化球だけ投げる日を設け、1年かけ新球スライダーを操れるようになった。

 大学進学予定だが、この日の完封はネット裏のプロスカウトたちの評価を高めた。「いずれはプロで活躍したい」と森田本人もその気だ。昨夏は富山第一が県勢40年ぶりに8強入り。「テレビで見ていました。来年は自分たちがやろうと思っていました」。完封してもガッツポーズをしない、お立ち台でも小さな声で話す草食系左腕が、県勢初の4強入りを目指す。【石橋隆雄】

 ◆森田駿哉(もりた・しゅんや)1997年(平9)2月11日生まれ、富山県出身。小2から光陽アスレチックスで野球を始める。南部中では硬式の富山ボーイズ所属。富山商では1年秋からベンチ入り。好きな選手はヤンキース田中将大投手。183センチ、79キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟。