<全国高校野球選手権:八戸学院光星5-1星稜>◇20日◇3回戦

 八戸学院光星(青森)が、2年ぶりの8強入りを一番乗りで決めた。星稜(石川)を延長10回で下した。2年生の右腕エース中川優が、被安打7の1失点で2試合連続の完投。打線は8回に4番深江大晟内野手(3年)が、同点ソロ。10回1死満塁から相手投手の暴投で勝ち越し、一挙4点を奪った。初戦の2回戦に続く逆転勝ちで、明日22日の準々決勝は敦賀気比(福井)と対戦する。

 ミラクル星稜を封じ込めた。八戸学院光星の中川が1-1の8回1死満塁のピンチを投ゴロ併殺に、9回1死二塁は空振り三振、二ゴロに仕留めてみせた。「最後まで粘り強く投げられたのが良かった。勝てたのが一番うれしい」と気持ち良さそうに汗をぬぐった。

 同点に追いついた直後のマウンドから、得点圏に走者を背負った。星稜は石川大会決勝で、9回裏に8点差をひっくり返した。それでも中川は「一番自信のある」スライダーを決め球に終盤2イニングを乗り越えた。4点を勝ち越した延長10回は3者凡退で2試合連続完投。仲井宗基監督(44)も「粘り強く丁寧に投げてくれた。持てる力以上の力を出してくれた」と右腕エースを褒めた。

 青森大会終了後から、課題の1つにしていた体重移動の練習を繰り返した。足を大きく広げて、右足に重心を乗せて左足へと移動。武修館(北北海道)との初戦までの約3週間、軸足に体重をしっかり乗せてから投げるフォームを固めた。「低めの真っすぐが伸びるようになった」と打ち明け、直球でカウントを稼げるようになった。投球に幅が広がり、スライダー、ツーシームなど多彩な変化球がより生きた。初戦で自己最速を2キロ更新する140キロを計測。仲井監督の言う「持てる力以上」は、中川の甲子園での成長を示していた。

 流れを変えたのは主砲深江の1発だった。1点を追う8回2死。外寄り高めのスライダーを、左翼席中段まで運ぶ高校通算26号。センバツ1回戦(対横浜)、6-3の6回に2ランを放っているが「春とは違う。いい場面で打てた」と胸を張る。打席に入る前に仲井監督から「ホームランを狙っていい」と声をかけられ、起死回生の同点ソロで応えた。

 終盤粘って、青森大会準決勝から続く逆転勝ちは4試合になった。出場6大会連続の8強入りで、11、12年は準優勝。仲井監督は「甲子園は夢の場所じゃない。勝負するところ。東北のレベルの高さを証明するには勝つしかない」。「大旗白河越え」へ、八戸学院光星が1歩ずつ近づいてきた。【久野朗】