<全国高校野球選手権:敦賀気比7-2八戸学院光星>◇22日◇準々決勝

 八戸学院光星(青森)は敦賀気比(福井)に完敗した。1回裏に先発左腕呉屋開斗(2年)が3ランを浴びるなど、終始追う展開。7回表に馬場龍星捕手(2年)の左前適時打で2点を返すも、力及ばなかった。攻撃の要、1番北條裕之内野手(3年)が4打数無安打に終わるなど打線がつながらず。悲願の大旗白河越えは、また持ち越された。

 8回表の先頭、北條が振り抜いた打球は高く舞い上がり、左翼手のグラブに収まった。延長10回で勝った3回戦星稜(石川)戦では2度の好機で打てず。試合後には、思わず仲間に対し「ごめん」の言葉が出た。「思い切りいこう」と切り替えて臨んだ試合だったが4打数無安打。3戦通じ11打数ノーヒットのまま、最後の夏が終わった。昨秋の東北大会も、この夏の青森大会も、優勝する時はいつでも1番の北條が打線に火を付けた。「自分が打てなかったのが一番。勢いづかせられなかった」と、自分を責めた。

 兄を超えたい。その気持ちが北條の原点だ。兄史也は2年前の夏に甲子園で4本塁打、光星のレギュラーとして3季連続準優勝を成し遂げ、その秋に阪神に2位指名で入った。同じ内野手として比べられたが「注目されるから、おかげで妥協せずにここまでこられた」と大きな兄の存在に感謝した。「この大舞台で打てる選手が本物だと思う」。力不足を痛感しつつも「大学で鍛えて最終的に兄と一緒にプレーしたい。そこで超えられればいい」と前を向いた。幼い頃、実家の裏庭で、父映彦さん(48)が作ってくれた5メートル四方の小屋で2人で夜遅くまで打撃練習をして競った。変わらず、これからも兄の背中を追っていく。

 3年前の夏の準優勝に心を動かされ、日本一を目指し集まった世代だった。スター選手がそろった当時のチームとは違う。その分、つなげて粘って、2度の逆転劇で県大会を勝ち抜いた。星稜戦でソロホームランを打った4番深江大晟(3年)は、4回表1死、敦賀気比2年エース平沼からチーム初ヒットを打ったがホームに戻れず。「チャンスで凡退するか、ものにするか。そこの差。甲子園でつなぐ野球が出来なかったのは悔しい」と、結果を受け止めた。

 この春のセンバツは、敗れた龍谷大平安(京都)が優勝。あそこで勝てていれば…と、八戸に帰ってから夏まで練習は今までにない緊迫した空気が漂った。優勝が全員の頭の中にあった。本気で日本一を取りに来た大会だった。仲井宗基監督(44)は「もっともっと強いチームになって戻ってくる」とリベンジを誓った。「この悔しさを生かすも殺すもこれからにかかっている」。頂点をとるまで、歩みは止めない。【高場泉穂】