<センバツ高校野球:聖望学園0-9沖縄尚学>◇4日◇決勝

 紫紺の優勝旗が再び沖縄の地に渡った。沖縄尚学がエース東浜巨(なお)投手(3年)の完封で、99年以来9年ぶりの優勝を飾った。センバツ決勝の完封は、98年の横浜・松坂(現レッドソックス)以来10年ぶり。比嘉公也監督(26)は、99年にエースで優勝し今回、監督としても優勝の偉業を成し遂げた。

 「フウッ」。勝利を待つ手拍子を一身に浴びながら、マウンドで東浜は深呼吸をした。最後は三振と決めていた。狙い通りに三振で締めくくると、両手を高く突き上げた。

 初めての3連投。準々決勝で打球を受けた左ひざは痛みもあったが、先発を直訴した。9年前の決勝ではひじ痛から登板を回避した比嘉監督だったが、今回はエースの気持ちを優先。勝利優先で内容にはこだわらないが「完封を狙っていました」と初めて強い決意で臨んだ。3回までは無安打に抑えた。7回の2死満塁のピンチも左飛に抑えた。「バックにも守られて楽しく投げられました」。波のように押し寄せるスタンドの声援も支えになった。

 比嘉監督との出会いが運命を変えた。入学当初から140キロの速球を投げるなど素質は群を抜いていた。「リリースポイントや体重移動など、すごい感覚を持っている選手。大事に育てなければと思いました」(比嘉監督)。自慢の速球を生かすために、教えられたのが比嘉監督の持ち球だったスローカーブ。「マウンドでの気持ちとか精神面や、フォームも全部、比嘉先生に教わりました。甲子園の話をいろいろ聞けたのも良かったです」と、プロが注目するまで成長した背番号1は感謝を忘れない。「投手としても人間としても尊敬できる」と信頼する師のもとで、二人三脚でVまでの道のりを歩んできた。

 9年前と同じ道を歩んで同じ紫紺の優勝旗をつかんだ。「やっと比嘉先生に並びました。夏に勝つチームが本当に強いチームだと比嘉先生にも言われたので、夏が勝負だと思います。夏またここに戻ってきたい」。9年前の夏は甲子園2回戦敗退だった。頂点を目指す2人の挑戦はまだ終わっていない。【前田泰子】