日本一へ、休んでなんかいられない!

 センバツで準優勝に輝いた花巻東(岩手)が3日夕方、地元花巻市に凱旋(がいせん)した。激闘を終えて一息つきたいところだが、エース菊池雄星(3年)は「これまで以上のことをしないと、また準優勝に終わる」と、夏に向けて早くも“始動”。チームも4日に練習試合を行い、再び歴史を変える挑戦への戦いを始める。

 聖地での激戦から一夜明けたこの日、菊池は晴れやかな表情だった。決勝で惜しくも敗れ、号泣した姿はない。満面の笑みで仲間と冗談を飛ばし合い、昼前に神戸市内の宿舎で報道陣の取材に応じた際には、キリッとした表情で今後への意気込みを語った。

 菊池

 ちょっと休みたい気持ちもあるけど、帰ったら早速、練習したい。これまで以上のことをしないと(夏は)また準優勝に終わる。これがゴールじゃないので。

 前日2日、清峰(長崎)との決勝戦を終えると、気持ちをすぐに切り替えていた。神戸市内の宿舎に戻ると、チームメートと約2時間のミーティング。決勝のVTRを振り返り、敗因を徹底的に分析し、話し合った。一夜明けたこの日も、岩手への出発前の午前中に筋トレで汗を流し、体を動かし続けた。

 最速152キロの速球と快投で、全国にその名を知らしめた今大会。伊丹空港から仙台空港へ移動する際には、空港ロビーや機内で携帯カメラを向けられたり、握手を求められた。それでも菊池は「これからの行動が一番、大事になる。謙虚に、上を目指してやっていきたい」。浮かれずに、まい進することを誓った。

 チームは早速4日、学校グラウンドで八戸工大一(青森)と練習試合を行う。佐々木洋監督(33)は「菊池はしばらく休ませたい」と話したが、当のエースは「投げたいですね。疲れも特にないし、いっぱい野球がしたいので」。今度こそ、東北に初の大旗を持ち帰るため、菊池に「オフ」の2文字は存在しない。【由本裕貴】