<高校野球三重大会:菰野5-2宇治山田商>◇26日◇決勝

 菰野が3季連続出場を目指す宇治山田商を破り、3年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。同カードとなった昨夏の決勝で、この日も先発したエース平生拓也投手(3年)に完封負けを食らったチームが1年がかりでリベンジを果たした。試合終了後に行われた抽選会では、選手権初戦の相手が仙台育英に決定。強豪を相手に甲子園での夏1勝を目指す。

 喜びが爆発した。9回2死二塁。最後の打者が力ないセカンドゴロに倒れると、菰野ナインがマウンド上で両腕を突き上げるエース西勇輝(3年)めがけ飛びつき、抱き合った。力いっぱい校歌を歌い切ると、待ち切れないように三塁側スタンドへダッシュ。猛暑の中、声をからしてくれた応援団へガッツポーズを繰り返した。「この1年でみんな成長した。本当に良くやってくれた」。戸田直光監督(45)は誇らしげに選手たちを見つめた。

 1年がかりのリベンジ劇だった。同カードとなった昨夏の決勝。当時2年生だった宇治山田商・平生の前に4安打完封負けで涙をのんだ。「平生を打たないことには優勝はない」と戸田監督。豪腕に打ち勝つために、バッティングマシンの球速を直球145キロ、スライダー135キロに設定し徹底的に打ち込んだ。打撃のピークを今大会に持ってくるため、5月下旬から1カ月間、あえて打撃練習を封印。大会3週間前から打ち込んで調子を上げた。

 この日は初回から3イニング連続得点で試合を優位に進め、5回には無死二塁から3連続犠打。これが平生の2失策を誘うなど2点を追加した。今大会のチーム打率は3割8分4厘。33犠打も光った。貧打にあえぎ、西頼みで接戦に持ち込むスタイルのチームがしっかり打ってつなぐチームに進化した。1番打者としてこの日2安打、今大会19打数13安打と打ちまくった主将の稲垣裕也遊撃手(3年)は「やってきたことが実ったと思います」と胸を張った。

 甲子園初戦の相手は強豪・仙台育英に決まった。エース西は「意識し過ぎず、ぶっつけ本番でいきます」。2度目の出場で甲子園初勝利を目指す。【上野竜一】