<高校野球熊本大会>◇15日◇2回戦

 必由館は田中大輝投手(3年)と馬場柾行捕手(2年)のサウスポーバッテリーで八代農を10-0の6回コールドで破り、3回戦進出を決めた。

 必由館の珍コンビは、抜群の相性で八代農打線を封じ込んだ。県内屈指の左腕・田中の女房役も、何と左投げの馬場。世にも珍しいサウスポーバッテリーは、5回を1安打、打者15人のほぼパーフェクト投球。6回も3者凡退と、馬場が好リードで圧勝の6回コールド勝ちを演出した。

 昨年まで一塁だった馬場を今春から捕手にコンバートした。西田尚巳監督(45)は「話題作りなんで」と笑う。実際はチーム事情。捕手不在の中で、打撃がいい馬場を試したところ、好結果が生まれた。その馬場は小5のとき、捕手がいないチーム事情で自ら名乗り出てからの、捕手としてのキャリアがあった。「左打者のときは送球しやすい」とサウスポー捕手の利点を掲げた。

 エースの田中は「最初は投げにくかったです」と打ち明ける。構えたときの見た目の違和感。さらに田中が得意とするクロスファイアが、右手にミットでは捕球が流れてしまい、ボールにとられることも多かったという。数々の問題点はバッテリー、野手を含めて話し合い、練習して克服してきた。「今は何の問題もないです」と田中は言う。

 田中によると、馬場は1年時にほとんど練習にも出ず、辞める寸前の状況があったという。そんな馬場に“本職”の捕手が、絶対的な居場所を与えた。「投手陣はいいんで、自分がうまくリードすれば甲子園に行けると思います」。夢がかなえば、甲子園でも話題の男となるのは間違いない。【実藤健一】