<全国高校野球選手権:九州学院14-1松本工>◇7日◇1回戦

 10年ぶりに出場した九州学院(熊本)がド派手な初戦突破を果たした。28年ぶりの全員安打全員得点となる18安打14得点の猛攻で、松本工(長野)に圧勝した。5日の練習中に熱中症で倒れ、救急車で運ばれた5番富高央崇(ひろたか)内野手(3年)が2安打5打点と大暴れした。

 開会式の熱気が冷めやらない甲子園のスタンドを、九州学院打線がさらにさらに熱く沸かせた。10年分ためたパワーを吹き出すように、1回から打線はエンジン全開。4連打で3点を先制して幕を開け、2回にも四球をはさんで4連打で2得点。4回まで毎回得点で12得点と大量リードを奪い、好投手・柿田を打ち崩し、開幕戦で10年ぶりの夏の勝利をあげた。

 上位から下位まで積極的にガンガン打ちまくった。終わってみれば18安打で14得点。全員安打、全員得点、9番下田以外の先発8人がマルチ安打というすさまじさだ。まるでお祭りのような打線を引っ張ったのが5番富高だ。まずは1回1死満塁で左中間を破る二塁打で3点を先制しチームを乗せた。さらに4回には無死一、三塁で再び左中間を破り2点追加。5点を1人でたたき出す、見事なデビューを飾った。

 「1年生の萩原を4番にできるのも後ろに富高がいるから」と坂井宏安監督(53)の信頼も厚い主砲だが、暑さには弱かった。5日の練習中に熱中症でダウンし、救急車で病院に運ばれた。点滴を受けて体調は回復したが、6日の開会式リハーサルは欠席。試合前の開会式には出席し「また具合悪くなったらと、正直心配でした」と内心ドキドキ。下半身にはだるさが残り完全復活ではなかったが、ベンチでは控え選手がうちわであおいだりスポーツ飲料を用意してくれたりとサポートしてくれた。「みんなが支えてくれたから」と仲間に感謝する。

 初出場した63年に2勝して以来、甲子園では1大会1勝止まり。「自分が活躍しないとダメなので次も気合でいきます」と富高は言う。最高の勝利をつかんだ九州学院ナインが、2回戦で47年ぶりの2勝目にチャレンジする。【前田泰子】