<全国高校野球選手権:明徳義塾6-2本庄一>◇10日◇1回戦

 明徳義塾(高知)は本庄一(埼玉)を破り、春夏通じての初戦連勝記録を20に伸ばした。

 フィジー生まれの明徳義塾シング・アンドリュー右翼手(3年)が、馬淵史郎監督(55)に前人未到の春夏初戦20連勝を贈った。本庄一戦1点ビハインドの7回裏無死。外寄り直球を左越えにライナーで運ぶ三塁打。相手の動揺を呼び、この回逆転に成功。「(三塁は)守備を見たら行けると思った。自分の判断。あれで(逆転)いけるという雰囲気になった」。流れを変えた一打への手ごたえは、ばっちりだった。

 両親が離婚し、生後3カ月で、父グルチャランさん(41)と日本に来た。都内でクリアファイル製造の会社を起こした父と離れ、都内の公立中学3年の時、甲子園の夢を追うため高知の明徳義塾中学に編入。初めての寮生活になじめなかったが、歯を食いしばってきた。父は寂しいのか、電話口でよく泣いたという。約束の甲子園での大暴れに、シングは「(父は)また、泣いてると思う」と話した。【村上久美子】