<全国高校野球選手権:興南8-2明徳義塾>◇15日◇2回戦

 横浜以来12年ぶり、史上6校目の春夏連覇を目指す興南(沖縄)が、島袋洋奨投手(3年)の12奪三振の力投で3回戦に進出した。甲子園通算5度目の2ケタ奪三振は、横浜時代のレッドソックス松坂、東北時代の日本ハム・ダルビッシュの4度を抜いた。打線は13安打を放ち、今春センバツから7試合連続の2ケタ安打で援護した。

 興南のエース島袋が甲子園の偉大な先輩たちを超えた。144キロの直球で12個目の三振を取って締めくくり、甲子園での5度目の2ケタ奪三振を記録。松坂、ダルビッシュの4度を抜いて、82年以来28年ぶりの夏3回戦進出を決めた。

 ピンチでも落ち着いていた。2回には3安打でこの夏甲子園初失点を許すと、3回以降はそれまでの直球中心の投球から変化球中心に切り替えた。「相手打線が直球を狙っているのが分ったので」と、ツーシームとフォークを決め球にして攻めた。リズムが出てきて自己最速タイの145キロもマーク。6回以降はわずか1安打と、尻上がりに調子を上げた。

 三振を「取る投手」から「狙う投手」へ成長した。走者を出すと三振を狙って取りに行く。2回の失点後は2者連続三振、3回1死満塁の場面も連続三振に打ち取ってピンチをしのいだ。その一方「当たってない打者には無理に勝負せずにかわしていきました」。メリハリのきいた投球への転機は、センバツ準々決勝の帝京戦の完封だった。「難しく考えなければ楽に攻められるんだと分かったんです。あれが大きかった」。経験を通して巧みなペース配分を学んだエースを、我喜屋優監督(60)は「バックが島袋なら取ってくれると思った場面で、期待に応えた三振を取ってくれた」とほめた。

 炎天下で疲れも見せず126球を投げきった。「初戦では蒸し暑さを経験できたし、今日は太陽の下で投げられた。次はどちらでも大丈夫です」と、頼もしく言い切った。頂点まであと4試合。エースは甲子園を楽しみながら、ステップを上がっていく。【前田泰子】