<全国高校野球選手権:興南10-3聖光学院>◇18日◇準々決勝

 12年ぶりの春夏連覇を目指す興南(沖縄)は15安打10点の猛攻で42年ぶりの夏4強。2番慶田城(けだしろ)開中堅手(3年)の3安打5打点の活躍などで逆転勝ちした。

 また1歩、大旗に近づいた。興南打線がエース島袋を救う猛打で聖光学院に逆転勝ちだ。2回に5安打を集中されて3失点。この夏初めてリードを許す厳しい展開となったがその裏2点を返すと、5回まで連続得点。15安打10得点の鮮やかな逆転勝ちだった。

 「島袋を救え!」。その先頭に立ったのが2番慶田城だ。同点の4回2死一、三塁で右中間を破る三塁打を放つと、8回2死満塁でも走者一掃のダメ押し二塁打。3安打5打点の活躍でエースを強力援護した。「甲子園で長打を打つなんて初めてなので覚えてないです」と興奮気味だった。

 島袋とは同じマンションに住む。慶田城家が3階で島袋家が5階。小さいころ「野球やろう」と島袋を誘ったのが、ほかならぬ慶田城だった。父広さんは小学生時代に所属した「志真志ドリームス」の監督。小さいながらキレのあるボールを投げる島袋にトルネード投法を指導した、いわば「育ての親」でもあった。

 現在も調子が悪いときは慶田城の自宅でビデオを見ながら3人でフォームをチェックする。エースが悩む姿も間近に見てきた。「洋奨をみんなで助けよう」を合言葉に、冬場は全員で1日1000スイングをノルマにしてきた。

 これで我喜屋優監督(60)の現役時代の4強に並んだ。42年前の躍進は「興南旋風」と呼ばれ、試合日は役所や病院まで休みになるほど沖縄中が熱狂した。慶田城は「監督さんの記録を超えたいと思います」と宣言した。【前田泰子】