シーズン開幕後もとにかくがむしゃらだった。自宅に帰ってもテレビをつける暇もない。対戦相手のデータを頭に入れることにとにかく必死だった。「毎日疲れますけど、心地いい疲労ですよ」。これでスタメンマスクをかぶった試合は7勝3敗。千賀、石川、飯田と同じ育成出身の3投手をリードし、千賀の4勝目をアシストした。

 自身初のお立ち台に上がると、球場を見渡し「最高ですね」と声を弾ませた。チームを17安打14得点のお祭り騒ぎに導く、チーム最小兵の大きな殊勲打だった。【福岡吉央】

 ▼甲斐が2回にプロ初アーチとなる満塁本塁打。外国人選手を除き、プロ初本塁打が満塁弾は15年8月25日の上林(ソフトバンク)以来58人目(パ=19人目、セ=23人、1リーグ=16人)。ソフトバンクでは41年松本光三郎、81年吉田博之、91年安田秀之、97年井口忠仁(現ロッテ井口資仁)、前記上林に次いで6人目。また甲斐は育成ドラフト出身だが、育成ドラフト出身選手の満塁弾は初めてとなった。