ソフトバンク嘉弥真が日本ハム大谷をピシャリと斬った。3点リードの6回、1死二、三塁で日本ハムはとっておきの代打大谷を告げた。札幌ドームがこの日一番の大歓声に包まれる中、工藤監督は迷わず先発東浜から嘉弥真へとスイッチした。「まだ足が震えますよ。大谷にはオーラがあった。けっこう打たれている打者なので」(嘉弥真)。過去3年で4打数2安打。昨年8月には2ランを許している。でも、それはすべてサイドスローに転向する前の話。球界最強クラスの左打者へ堂々と攻めた。

 フルカウントからの8球目、スライダーで力のない左飛に打ち取った。「四球でもよかったが、逆にスライダーが高めにいってよかった」と振り返った。5、6球目にしっかり内角へ140キロ台の直球を投げ込んだことが勝因だった。5月18日に2軍へ降格。内角へ直球を投げ込むことがテーマだった。高村投手コーチは「(抑えるには)内角が必要になってくる。時間がなかったので急いでやっている。器用ですよ」と、たくましくなって1軍に戻ってきた嘉弥真をほめた。

 嘉弥真は「上で投げている時は打たれることが怖かった。今は肘からうまく腕が振れている」と、サイド転向に手応えをしっかりとつかんでいる。今季27試合で防御率0・49。6月13日に1軍復帰してからは11試合無失点だ。森福が巨人にFA移籍し、今季の不安材料の1つが左の中継ぎだったが、嘉弥真が救世主となり、チーム3カ月ぶりの首位返り咲きに貢献した。