エースでも止められなかった。楽天が好調西武に2連敗を喫し、7月8日ぶりに首位をソフトバンクに明け渡した。先発の則本昂大投手(26)は6回を今季自己ワーストタイの6失点。3敗目に「状態は悪くなかった。ただ、調子が良くても打たれたら意味がない」とうなだれた。

 自ら崩れた。同点に追いつかれた3回2死一、三塁。初球フォークを浅村に当て満塁。4番中村への5球目、146キロのフォークを引っかけた。ワンバウンドしたボールは捕手嶋の後方へ。慌てて本塁カバーに入ったが、三塁走者だけでなく、二塁にいた源田をも生還させた。梨田監督は「あの2点は大きかった…」とため息。この回、四死球と暴投絡みで3失点。結局、ここから追いつけなかった。

 1球の重みを熟知するからこそ、則本は顔をしかめ、天を仰いだ。守護神松井裕を筆頭に、投打に主力に故障者が続出のチーム状況。「今いる選手が辛抱強いプレーをしていくしかない」と言った。4回と6回には山川に2打席連続被弾した。今季初めて銀次を2番に置くなど、テコ入れした味方打線が4得点しただけに、自分のミスが許せない。責任感の強い男は、やるせなさを顔に浮かべた。

 既にハーラートップの10勝を挙げているが、パ・リーグのチームでは西武戦のみ未勝利。3度目の対戦も白星をつかむことなく、0勝2敗となった。「対処の仕方はありましたけど、それでもダメでした」。2位に陥落し、首位ソフトバンクとは1・5ゲーム差、3位西武には5ゲーム差に迫られた。1つの負けが、重い。【鎌田良美】