広島が土壇場9回に3点差を追い付き、両軍23選手が出場する総力戦を引き分けた。3点ビハインドの9回。虎の守護神ドリスから代打松山が1死一、二塁から右前適時打。2点差に追い上げ、なおも1死一、三塁で、代打西川はフルカウントとなりバットを短く握り155キロ直球を捉えた。打球が中堅右に弾むと、三塁から悠々と上本、さらにスタートを切っていた一塁の代走の野間が一気に本塁にかえってきた。最後まで誰も諦めていなかった。

 延長12回、ベンチに野手はもう誰一人残っていなかった。ベンチ入りメンバーでただ1人残っていた投手中田も、代走に備えていたほど死力を尽くした。勝ちきることはできなかったが、敗色濃厚な展開から引き分けに持ち込んだ。緒方監督は「勝ちに等しい引き分け」と選手をたたえる価値あるドローとなった。

 先発九里が1回2死から2長打を含む5連打を浴びて4失点する立ち上がりも、直後に1点を返した。5回に内野ゴロの間に1点を返すなど、じわりじわり阪神に詰め寄った。9回は新井、エルドレッドのベテランがチャンスメークし、代打がきっちりと結果を残した。代走野間も俊足を生かした走塁で本塁をもぎ取った。緒方監督は「全員が一丸となって戦って、相手の勝ちゲームを引き分けにしてくれた。粘り強いいいゲームだった。1人1人が役割を果たしてくれた」と胸を張った。広島は強く、そして粘っこい。今日4日、敵地DeNA戦で勝てばマジックが点灯する。【前原淳】

 ◆広島のマジック 広島は今日のDeNA戦に勝てばマジックが点灯。阪神がヤクルト戦に○か△の時はM36、ヤクルト戦に●の時はM35。広島がDeNA戦に△か●の場合、M点灯は5日以降に持ち越し。