藤浪よ、人生かけて魂見せろ! 阪神金本知憲監督(49)が14日、明日16日の広島戦(京セラドーム大阪)で1軍復帰する藤浪晋太郎投手(23)に、厳しい表現で奮起を促した。「人生を左右する。それぐらいの目で見たい」。5月末の2軍降格から2カ月半。逆転Vへ8・5差で追う首位相手に3連勝が欲しい大事な試合で、エース右腕の気概あふれる復活ピッチを願った。

 セ界の頂がかすんでいる。8・5差。これ以上、広島に離されれば危険水域に突入する。真夏の大阪決戦。その意味を誰もが理解している。これが赤ヘル軍団に食い下がるラストチャンスになるかもしれない。奇跡を起こすには、何としても3連勝が欲しい。だからこそ、金本監督が藤浪にかける期待は大きい。

 金本監督 僕ら楽しみですよ。どうその気持ち(悔しさ)を彼は出してくれるのか。

 笑顔でそう言うと、今度は真剣な表情で続けた。

 金本監督 そういう場でどういう姿をみせてるのかというのはね。やっぱり、今後、彼の人生を左右するといえばオーバーかもしれないけど、僕はそれぐらいの目で見たいと思う。

 チームを引っ張るべき右腕が、5月27日に降格してから2カ月半も2軍にいて戦力になれなかった。その男がどんな姿で1軍に帰ってくるのか。16日の広島2戦目を、みんなが注目している。今回の登板はプロ野球人生でも重要なマウンドになると力を込めた。

 藤浪はこの日、1軍に再合流した。甲子園室内で投手指名練習に参加。キャッチボールやゴロ捕球、ブルペン投球…。練習中はほとんど笑顔を見せることなく緊張感を漂わせた。開幕から3勝3敗。防御率2・66の成績を残したが、不安定な投球内容が続いて2軍落ち。だがミニキャンプを張るなど、炎天下の鳴尾浜でつかんだ手応えはある。

 藤浪 やりたいことはできた。感覚が良くなった。それに尽きると思います。

 10日にメッセンジャーが右足を骨折し、岩貞も不振で抹消されるなど虎投は危機的状況にある。今日15日に敗れると広島に優勝マジック「27」が再点灯してしまう。小野、藤浪、岩田の3枚を投入する3連戦。2戦目を託された右腕は、気持ちの高ぶりを抑えるように言葉をつないだ。

 藤浪 首位チームなので強いですし、走攻守でバランスのいいチーム。簡単に抑えられない。ちゃんと投げ切らないといけない。

 金本監督が「人生を左右する」とまで言った正念場だ。藤浪が自身とチームの命運をかけ、勝負のマウンドに上がる。【桝井聡】