初の最多勝をほぼ手中にした。巨人菅野智之投手(27)が6回2安打無失点の好投で、ハーラートップの17勝目を挙げた。同2位の広島薮田は残り3試合で15勝だけに、球団日本人右腕では02年上原以来の同タイトルが決定的。今季2度目の自身5連勝で、防御率は驚異の1・59に突入した。シーズン1・60以下なら、球団では別所毅彦、藤田元司、堀内恒夫(2回)以来4人目の記録も達成する。

 また右腕でチームを救った。負ければクライマックスシリーズ(CS)進出が遠のく一戦で、菅野が初回からヤクルト打線を圧倒した。先頭の坂口にファウルで10球粘られたが、11球目の低めスライダーで空振り三振。続く山崎からも外角スライダーで見逃し三振を奪い、連続三振で勢いに乗せた。「勝ち続けることがCSへの近道。0点に抑えることだけを考えて、マウンドに上がりました」。盤石の6回2安打無失点で勝ち試合を呼び込んだ。

 チームの信頼が力を与えてくれた。1点リードの4回1死三塁。バレンティンを迎えても、迷わず前に出てくれた内野陣の姿に奮い立った。「今年はずっと井端コーチが前進守備を敷いてくれている。その期待に応えたかった」。2球目の内角144キロで捕邪飛。続く山田には勝負の外角スライダーが四球になったが、リベロを遊ゴロに打ち取り得点を許さない。「負けられない戦いが続いている」と力勝負でねじ伏せた。

 背中にチームを背負いながら、マウンドに上がれば投手としての役割に集中する。「ピッチャーができることは、まず0点に抑えること。それがダメなら最少失点で切り抜ける。限られたことしかできない。やれることに全力を尽くす」。前向きな割り切りが次々に好結果を生み出す。4完封含む17勝と防御率の1・59でリーグ2冠を独走。「勝ちは自分でコントロールできない。投手として、防御率を最も重要に考えています」と信念を貫きながら、投球回も自己最多の187回1/3に突入した。

 次回は、今季最終戦の10月3日ヤクルト戦(神宮)に先発する見込み。残り4試合で3位DeNAに1ゲーム差と楽観視できる状況ではないが「勝ち続けるだけ。最後まで意地を見せたい」と宣言した。チームと自分を信じて、最後まで戦い抜く。【松本岳志】

 ▼菅野が17勝目。シーズン17勝以上は13年田中(楽天=24勝)以来で、セ・リーグでは11年内海(巨人)吉見(中日=各18勝)以来6年ぶり。6回を投げ今季187回1/3。投球回数は昨季の183回1/3を上回り、自己最多になった。

 ▼巨人は残り4試合で70勝66敗3分け。シーズン途中で13連敗を喫し、一時は借金11を抱えながら06年以来となるシーズン負け越しを回避した。